今回の記事では、ニュースなどでよく聞く「被告(ひこく)」という言葉の意味を解説していきます。
大きく分けて、2つの意味があります。
① 民事訴訟における「被告」の意味
1つめの意味は、民事訴訟で、訴訟を起こされた側、原告の対立当事者のことを、意味します。
この意味で使う「被告」という言葉は、民事訴訟法の条文上の正式な用語になります。
今回の記事で、特にご紹介したいのは、もう1つの意味の方になります。
②刑事事件(刑事裁判)における「被告人」の意味
2つ目の意味は、特定の刑事事件について、
公訴を提起された被告人のことを意味します。
刑事裁判では、当事者のうち、公訴の提起を受けた者が「被告人」となります。
(刑事裁判は、「検察官vs.被告人」という対立構造になっています。
「被害者vs.被告人」ではありません。)
民事訴訟のように、訴えられた側を「被告」とすることはありません。
刑事裁判における「被告」という表現は、主にマスコミが用いる表現になり、
条文上の正式な表現ではありません。
被告人を略して、被告としている、といったところでしょうか。
本日午後1時30分から、〇〇被告の強盗致死傷被告事件の初公判が、
東京都千代田区霞が関の東京地方裁判所で開かれました。
今日の公判で行われた罪状認否で被告は、「私は犯人では、ありません。
私は、無罪です。」と述べ、
起訴内容を全面的に争うことを明らかにしました。
といった感じで用いられます。
上のアナウンスの「被告」の部分を「被告人」と入れ替えて、
読んでみると、確かに、少しもっさりした感じになります。
それと、正式な裁判書類には、「被告人 〇〇」とハッキリ書かれていますから、
それを「〇〇 被告人」とするのは、おかしいとも言えます。
とは言っても、呼び捨てもできないでしょうから、
「〇〇被告」と意味が通じるように一部の文字を抜粋して
敬称のように用いるというのも、
それなりに合理性があるように思います。