当職が当番弁護士として、被疑者の方と接見する際の導入の口上をご紹介します。
接見時の導入は、各弁護士が工夫して行うものであると考えておりますので、
正解があるわけではありません。
ただ、当職の場合は、毎回同じ順序で、同じことを言わないと非常に気持ち悪いので、
毎回、下記のような口上を用いて導入を行います。
はじめまして、弁護士の石埜と申します。
東京弁護士会から派遣されて参りました。
〇〇さんですか。
*上記の名前を確認するくだりは、非常に重要です。
留置係が関係ない人を接見室に連れてくるという
事故がまれに起こるためです。
はい。
最初に、お名前などの情報を確認させて下さい。
お名前の漢字、読みは、〇〇であっていますか。
生年月日は、〇〇であっていますか。
日本人(〇〇国籍)の男性(女性)の方ですね。
逮捕日は、〇〇であっていますか。
罪名は、〇〇と聞いていますか。
*上記のやり取りで、当番要請の際に送られてくる配点連絡票の
情報があっているかどうか、確認します。名前の読みが違って
いることや逮捕日などの拘束日が間違っていることは、わりと
よくあります。
私は、弁護士ですから、捜査機関とは、一切関係がありません。
ですから、〇〇さんが、ここで私に話した内容・秘密が、
捜査機関に伝わることはありませんので、安心してお話下さい。
*ここまでは、どうしても、上記のとおりに行いたいので、遮ってでも、
やらせていただいております。
*特に、上の吹き出しの部分の口上は、そのとおりに最後まで言わないと、
非常に気持ちが悪いので、必ず、皆様にお付き合いいただいております。
*制止を振り切ってでも、上の吹き出しの口上を述べるので、ベテランの
被疑者の方には、笑われることもあります。
後は、事案に応じて、お話しをしていくことになります。
ほとんどの事案では、
「せっかく、呼んでいただいたので、先にご質問があれば、どうぞ。」
という形で、質問を促します。
質問が、今後の流れであれば、手続的な説明に移行します。
質問が、処分の見通しということであれば、
「事実関係を聞いてからの方が、説明しやすいです。」
として、事実関係の聞き取りに移行します。
質問が、外部連絡の可否などの場合にも、事案を把握しないと回答しにくいので、
事実関係の聞き取りを先行させています。