今回の記事では、「在庁(ざいちょう)」という用語を取り扱います。
今回は、在庁という言葉の日本語的な意味ではなく、在庁という言葉が、
刑事弁護のシーンで使われる場合の意味について、解説していきたいと思います。
在庁という言葉は、正式な条文上の用語ではなく、実務において使われる略語になります。
当職は、刑事弁護において登場する「在庁」という言葉は、「在庁略式」の略だと理解しております。
在庁略式だけだと、まだ、意味が分からないと思いますので、
ここから先は、当職が勝手に、語句、フレーズを追加しながら、解説していきたいと思います。
在庁略式というのは、
「在庁している状態で、略式請求をされる。」
ということを示しています。
誰が、というのを追加すると、
「被疑者が、在庁している状態で、略式請求をされる。」
ということになります。
在庁って、どこに、というのを追加すると、
「被疑者が、検察庁に在庁している状態で、略式請求をされる。」
と、なります。
誰が、どこに、略式を請求するのか、追加すると
「被疑者が、検察庁に在庁している状態で、検察官から、
簡易裁判所に略式請求をされる。」
と、なります。
どういうタイミングで、というのを追加すると、
「被疑者が、勾留中に、検察庁に在庁している状態で、
検察官から、簡易裁判所に、公訴提起されると同時に、
略式請求をされる。」
となります。
略式請求の部分を正確に表現し直すと、
「被疑者が、勾留中に、検察庁に在庁している状態で、
検察官から、簡易裁判所に、公訴提起されると同時に、
略式命令の請求をされる。」
となります。
略式命令が出る場合には、必ず、科料か罰金になります。
勾留中に被告人が、科料か罰金に処せられた場合には、
勾留状の効力が失効しますので、略式命令が出た時点で、
釈放になります。
勾留中の被告人に対する略式命令の請求は、実務上、
その日のうちに、結論が出ることになっています。
ですから、「処分は在略」となったら、
「起訴されたその日のうちに罰金か科料となって、
そのまま釈放されて、帰宅できる。」ということになります。
*上記は、略式命令が出たら、その日の内に帰宅できるという意味では正しいのですが、
略式命令が出ない場合等の例外は無視して説明しています。
なお、罰金か科料の裁判が告知された時点で、
勾留状の効力が失効しますので、罰金や科料が納付できるかどうかに、
関わらず、被告人は、釈放になります。